「読書録」というカテゴリを追加しました。第1冊目は、これです。
本屋さんで積まれていて、ふと取って買ってしまいました。
とても読みやすい文章で、あっという間に読めます。
「もったいない」はなぜ?
中小企業診断士の試験に合格したよ〜と会社の人に話すと、だいたい
「会社辞めるの?」「独立するの?」と聞かれます;
いや、会社で取得を奨励している資格の一つが取れただけなんですが・・・
一方で、診断士でもない、会社関係者でもない人に「会社辞めてやる!!」と(飲み屋で)叫ぶと
「もったいないよ!!」「辞めたらどうするの!?」「そんなに焦らなくても・・・」
と必ず言われます。夫にも言われました。
その「もったいない」がどういう意味なのか、よく分からず・・・
もったいないのは何なのかと考えると
●給料?
●福利厚生とか??
●社会的地位???
と、私の場合モヤモヤが深まってしまいました。
飲み屋で叫ぶ「会社辞めてやる!」は単なる愚痴ですが、
今いる会社に自分自身の価値を提供できない、または自分自身が求める仕事の内容がなくなったら
それは転職するなり、辞めるなりになると私は考えていました。
実際そういう理由で、同期も先輩も辞めているので、そういうものだろうと。
著者の稲垣さんも、いざ朝日新聞社を辞めることを知人にいうと
「いや〜、もったいない・・・・・・」と言われたとのことです。
そこから稲垣さんは、「いかに日本人にとって会社が大きな存在か」と考えを述べられています。
「会社」の存在で回っている日本社会
最後の方の章では、「会社」が日本人に信用を与え、社会保険も含めた日本社会が回っていることを述べられています。
無職はクレジットカードが作れない。
住宅ローンも組めない。
就職活動をしていなかったら、失業保険の審査に通るのが難しくなる。
(この点は、退社理由には独立やフリーランスになる人もいるのに・・・と述べられていました)
国民健康保険が高い。滞納者もいる。
国民年金も、支給要件を満たす期間全て納付しても、月約6万円の支給しかない。
(厚生年金に入っていれば、会社が半分負担しているので金額が増える)
しかし、クレジットカードを作らせて、借金をさせて買い物をさせる。
借金させてマイホームを建てる。
それで日本の経済が回るような仕組みになっている・・・・・・と述べられています。
そして、「会社は修行の場であって、依存の場でない」と結ばれていました。
ひとりひとりが自立した個人になること
入社し何年も経過すると、会社の世界が全てのように感じてしまいます。
それが怖くて、私は社外のつながりを意識的につくってきました。
そのおかげか、様々な方からご教示を頂き、「こんな世界もあるんだな」と広い視野を勉強させていただいていると思います。
しかし、会社の考え方や仕事の進め方に、慣れてきているという実態もあります。
会社にいる・いないに関わらず、
「他人のために役立つ仕事をすること」
これが働くことの定義だと思うのです。
しかし、それが会社にいると、「会社に行くこと」が目的になっている場合もありえます。
そういうことを、考えさせられる本です。
辞めたい!と思っている人も、今の会社人生に疑問を感じていない人も。
「働くことはなんなのか」「日本社会はどうやって成り立っているのか」を考えさせられる本です。
にしても、退社するときの社会保険・年金・健康保険・その他諸々の手続きもかなり詳細に書いてあり
今まで会社が全部やってくれたことを自分でやらないといけないんだなあ・・・・・・
と、退社シュミレーションもできる本です(笑)